民間研究機関、日本創成会議の人口試算によると、和歌山県内も将来、消滅する可能性がある自治体が全体の8割近くに上るといわれるなか、県は県外からの移住を促進する施策を強化している。本年度は平成22年度から行っている移住者の空き家改修のための補助限度額を倍増したほか、人気のカフェ等の起業や農林水産関連の就業にも補助金を交付。いずれも対象となるのは県内17市町村、日高地方では由良町と日高川町の移住者が申請できる。
 県は県内の市町村や民間事業者とともに田舎暮らし応援県わかやま推進会議を立ち上げ、県外からの移住促進のための各種施策を推進しているが、この会議に加盟している29市町村のうち、専従職員を配置し、地域の受入協議会を設置している17市町村を移住推進地域として認定。空き家の改修補助はこの地域への移住者、物件所有者を対象とし、県が委嘱する住宅協力員(宅建資格を持つ専門家)が仲介し、受入協議会の支援を受けることを条件に申請できる。
 補助率は空き家改修工事経費の3分の2、限度額は80万円で、25年度までの40万円から倍増。県過疎対策課によると、昨年度、県外からの17市町村の移住推進地域への移住は75世帯116人、うち13世帯が空き家の改修補助を活用している。
 このほか、移住推進地域を対象とした県の支援策では、人気の古民家カフェなど地域資源を活用して起業を考えている人を対象に最高100万円、農林水産業への就業支援として最高50万円の補助金を交付。先の有識者でつくる日本創成会議分科会が発表した人口試算に関して仁坂吉伸知事は14日、「今後も人口の都市集中は進みそうな感じはあり、田舎暮らしを推進する逆のカウンターバランスも必要だ」と述べ、移住者関連補助金について「これらの事業を活用してうまく県内に移住、定着してもらえれば」と期待を込めて話した。