7日朝、日高川町愛川地内の山中でツキノワグマが見つかった。全長1.09㍍、体重29㌔、推定3歳の大人になる前のメス。専門家らによって人里に近づかないよう学習させられて山奥に放たれたが、えさを探していたところ、わなの近くにあった大好物のみつの樽に誘われ、イノシシ・シカ用のわなにかかってしまったとみられる。筆者がクマ捕獲の取材をしたのは2回目。(麻酔によって)眠っている姿など見ると、かわいく愛らしい顔をしているのだが、全国的にも人的被害も出ており、危険なのはいうまでもない。
 県によると、クマと出会わないように、森に入るときは鈴やラジオなどで自分の居場所を知らせ、クマのふんや足跡を見つけたらその先には行かないことが大切だそうだ。クマを引き寄せないために、キャンプなどでは食べ物の置き場に注意し、ごみは必ず持ち帰る。もし出会ってしまったら、静かに身を引き、万が一近くにいた場合、慌てて逃げずに、クマをじっと見ながら背中を見せずにゆっくりと離れるようにする。驚かすような動作は絶対にしてはいけないそうだ。
 ツキノワグマは紀伊半島では希少動物とされ、県では保護を基本に狩猟を禁止している。今回の愛川での捕獲は県内では昨年1月の有田川町以来。日高川町では22年6月の上初湯川の妹尾以来4年ぶり。出くわす機会が少ないと思われがちだが、目撃情報は19年度から24年度までの6年間で県内で160件、日高川町でも22件もある。これからの季節、キャンプやハイキングなどで森へ入る機会も多くなる。クマの生活環境によっては人里まで下りて来る可能性もある。もしもの際に備えて、クマへの対応を知っておこう。   (昌)