以前、小学校低学年児童が昔の遊びを学習するのを取材したことがある。地域の高齢者がお手玉、ビー玉遊び、リム回しなどを紹介し、その様子をいまの子どもたちに紹介するという内容だった。お年寄りらにインタビューすると、「いまのような立派なおもちゃはなく、遊び道具も自分たちでつくった。そして学校から帰ると、すぐに近所の友達と遊んだ」と懐かしそうに話していた。
 しかし、現代社会ではそうした光景はみられなくなった。近年ではゲーム機で遊ぶ子どもが増え、家に帰ると長時間にわたってゲームに夢中になるという。流行のゲームを持っていないと友達同士の会話にもついていけない、という話も聞いたことがある。
 もちろん放課後の子どもの居場所も随分と異なる。昔は近くの川や山などの自然が遊びのフィールドだったが、近年では学童保育のような子どもを預かってもらえる施設へと変化しつつある。筆者が取材を担当するみなべ町でみても、南部地区では以前から学童保育が行われ、昨年には上南部地区にも開設された。清川地区や高城地区の住民からも同様の施設を望む声もある。こうした変化は核家族化が進んだことや両親の共働き、少子化などが要因といえるだろう。
 ゲームでは、インターネット回線を通じて顔も知らない他のプレーヤーと対戦したり、一緒になって戦ったりする種類もあるらしい。この先、社会がさらに変化すると、「インターネットの中に仲のいい友達がいっぱいできた。そこが心地よい。放課後の居場所となったので、学童保育のような施設はもういらない」ということになりはしないか。    (雄)