平成25年度第6回市民教養講座は18日、御坊市民文化会館大ホールで開かれた。本年度の最終回で、人形劇俳優・演出家のたいらじょうさんが「劇場に託す夢~総合芸術『人形劇』の魅力と可能性」をテーマに語った。
 たいらさんの本名は平常。人形の「ジョウ君」に語らせる形で自身の生い立ちを紹介した。物心ついた時には、いろんなものを人形代わりにしてアドリブで劇を見せており、「ぼくが人形劇を一生の仕事にできたのは周りの大人のおかげ。両親は人形劇用の舞台を作ってくれたし、担任の先生に『いつまでも人形を手離さず、幼児性が抜けない』と注意された時も、母は『あなたは素晴らしいことをやっているんだから、分かってくれない人のことは気にしなくていい』と励ましてくれた。やがて先生も分かってくれるようになり、5年生の担任の先生は低学年のクラスに人形劇を見せに行かせてくれた」と振り返り、子どもの個性を認めて伸ばす大人の存在の大切さを訴えた。寺山修司が美輪明宏のために書き下ろした「毛皮のマリー」、オリジナルの「ねずみの嫁入り」など多くのレパートリーからさわりの部分を実演。「劇場には、テレビにはない『ふれあい』がある。劇場へ行かなくても生きてはいけるが、ほかでは得られない栄養をくれる、『心のレストラン』。劇場に足を運んで、心をおなかいっぱいにしてほしい」と訴えた。観客を舞台に呼んでジョウ君の動かし方を伝授するコーナーもあり、人形の両手を右手で、体全体を左手で操るなど難しい動きをマスターした観客に拍手が送られた。