ことしも御坊市塩屋町南塩屋、菜の花共同作業所が1月11日の塩の日に合わせて自分たちが作っている「塩屋の天塩」を市内の産直市場前で無料配布した。4年目の取り組みで、それ以前にも塩鍋を振る舞う食事会を催すなど、PRしてきた経緯があるが、無料配布の様子を見ていると、いまだに天塩を知らない人が結構いることが分かる。
 菜の花共同作業所は障害者の就労の場で、作業の一環で海水を釜だきして天然塩を製造している。ミネラルが豊富で、一口なめてみればすぐ分かるが、食塩のようにただ単に辛いだけでなく、まろやかな口当たりの独特の旨みが広がる。料理人ではないのでうまく表現できないが、例えば塩鍋を作れば、シンプルな味ゆえに何か具材の本来の持つ味を引き立たせてくれるような感じになる。漬物にも相性がよいようで、筆者が漬けるわけではないが、天塩を使った漬物はやはり奥深い味わいになる。
 そんな天塩は、日高地方でも一部の料理屋などで使われているが、もっともっと普及できないものかと思う。例えばいろんな料理屋で天塩を使ったオリジナルメニューを提供。それぞれが名物料理として定着すれば、観光客を誘致する際にも絶好のアピールポイントになる。その前に地元の機運盛り上げへ天塩オリジナル料理コンテストの実施などもおもしろいかもしれない。
 確かにいまのところ作業所では小規模の人数で塩づくりをしているため、生産量には限界があると思うが、例えばどんどん需要が増えれば施設を拡大。障害者の受け皿も大きくなることになり、これはこれでいい方向だ。とにかく、いろんな可能性を秘めた天塩をぜひご賞味あれ。     (吉)