和歌山大学と県の研究チーム、和高専が共同で「農業用アシストスーツ」の研究開発に取り組んでいる。先日、有田川町で行われた実証試験を取材した。スーツは手袋と靴に取りつけられたセンサーが、物を持ち上げるなどの動作を感知し、内蔵モーターが足腰にかかる負荷を軽減。10㌔分の重量をカバーする能力がある。
 試験では20代の女性が装着したが、約20㌔あるコンテナを2箱重ねても軽々持ち上げるなど、効果を確認。実際、そばで見ていたが持ち上げる初期動作をカバーしてくれるらしく、コンテナを持つと同時にすーっと腰付近まで自動的に持ち上がっている感じだった。このほか坂道を登る際にもアシストしてくれるという。まだまだスーツそのものの重量や作業の妨げにならないくらいのスリム化などが課題だが、2年後に1台100万円程度での販売を目指している。普及すれば、農業に携わる高齢者や女性の強い味方となりそうだ。またこのスーツ研究・開発は農林水産省からの委託プロジェクトとなっており、農業での用途を想定しているが、これらの機能はさまざまな分野でも応用できそうだ。介護や医療など力が必要な業種を中心に各分野へ広がっていくだろう。
 同様のスーツは和大の研究チームだけでなく、全国的に取り組んでいる企業や大学もあり、すでにリース・販売なども始められている。いろんなスーツを見てみても、まだスーツというより機械を装着するような感じだが、今後、さらに軽量化とスリム化が進み一般にも普及し、「一家に一台パワーアシストスーツ」という時代が来るのかもしれない。 (城)