御坊市の国保日高総合病院(東克彦院長)は今月から毎月1回、日高地方の医療機関では初となる「がん患者サロン」を開設する。がん患者と家族が集い、不安や悩みを語り合い、同じ経験をした仲間同士で気持ちを共有、安らげる場にすることが目的。日時は第3木曜の午後2時から4時まで、第1回は16日となり、他の病院で治療を受けている人と家族も参加できる。
 がん患者サロンとは、患者と家族に対する精神面を中心としたケアの充実を目的とし、参加者が互いに不安や悩みを語り合い、少しでも気持ちが明るくなるよう、日高病院地域医療連携室の社会福祉士ら専属スタッフが気持ちに寄り添いながら対応。普段の診察室や家庭ではできない、しにくい話も気軽にできる場として、医師や看護師らもできる限りサポートする。
 県内ではすでに、がん診療連携拠点病院の県立医科大附属病院(和歌山市)、日赤和歌山医療センター(同)、公立那賀病院(紀の川市)、橋本市民病院、社会保険紀南病院(田辺市)、独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター(同)の6病院に開設されており、中紀唯一の県指定がん診療連携推進病院である日高病院も、診療管理棟の建て替えを機に準備が完了。今月からスタートすることになった。
 サロンの場所は、病院正面玄関を入ってすぐ左にある地域医療連携室の隣。すべてのがんの患者と家族を対象に、日高病院以外の患者と家族、過去にがんを経験した人も対象とする。参加費、申し込みは不要、出入りは自由。地域医療連携室の社会福祉士、楠本祐史さん(30)は「がんの患者さんは病気に対する大きな不安があり、家族に心配かけまいとして、家ではなかなか思いを口にできず、それが逆に家族の不安となっている場合もあります。サロンでは病気と治療のことを中心に、医療や食事の情報を交換、世間話も自由にしながら、同じ病気と闘う人、それを支える家族の方が少しでも前向きに、気持ちが軽くなる場にできればと思います」と話している。
 問い合わせは地域医療連携室がん相談支援センター℡0738―24―1786。