日高高校(上田優人校長)は、9日から11日までの2泊3日、中国を行き先に「世界の日高を見に行こう」プロジェクトを実施する。世界へ羽ばたく人材を育成しようと初の試みで、生徒11人と引率教諭2人が参加。現地では長年にわたり中国で事業展開を行っている御坊市島、大洋化学㈱(上西一永社長)が受け入れに全面的に協力し、自社工場や上海市内の見学などを予定している。
 地方や都会を問わず国内企業が外国での事業展開を進める中、日高地方でも海外進出している企業をじかに足を運んで見学することで、生徒たちに地元企業の素晴らしさを知ってもらうとともに、これからの日高、和歌山を支えて広く世界に目を向ける人材を育成するのが目的。県教育委員会では本年度事業で特色ある授業への補助制度を設けており、各学校から各種プロジェクトの提案を募集。日高高校が今回のプロジェクトを提出したところ採択され、40万円の補助が決まった。ただ、補助金だけでは旅費などを賄えないため、生徒の自己負担は4万5000円。また、プロジェクトの実施に際しては、大洋化学の協力が大きく、現地での訪問先の決定や日程調整、歓迎夕食会の開催、宿泊先の確保などは一部資金面も含めて大洋化学が受け持つ。こういった日高高校と大洋化学の連携には、上田校長と上西社長がともに夢を語ってきた同級生の間柄という背景もある。
 訪問の初日は関西空港から出発し、上海浦東国際空港に到着。上海市内で預園や外灘などを見学する。2日目は杭州のパナソニック工場のあと、浙江省の紹興大洋化学を訪問。工場見学や従業員との交流を予定している。上西社長はすでに現地入りしており、この日の歓迎夕食会に出席する。大洋化学の中国進出は平成2年の上海進出が最初。浙江省には21年に工場を建設して、トレイをメーンにマージャン牌などを製造しており、従業員は300人にのぼる。訪問の3日目は魯迅(ろじん)記念館を見て、再び上海から関西空港経由で帰路につく。日高高校では姉妹提携を結んでいる中国西安と国際交流を続けて8年目となるが、今回のように地元で活躍する企業と連携した訪問は初めてで、上田校長は「地元の企業が海外で頑張っている様子を肌で感じてもらい、いざ自分自身がそういった立場になったときのための参考にしてもらいたい。将来的に地元で働く意欲も持ってもらえれば」と期待している。
 訪問する生徒は希望者を募った上で選考。当初、8人の枠だったが、希望者が多く11人枠とした。代表して永野杏奈さん(2年)は「普段はテレビなどでしか中国を知ることができませんが、実際に行って文化の違いやメディアでの報道とどう違うのかなどを感じてきたいと思います」と話している。ほか、訪問するのは次の皆さん。
 三倉茉裕子(1年)、尾崎美保、野田遥香、野尻悠貴、野田宗継、笹はる菜、米倉遥香、坂口徳子、湯森梢、橋本和佳(以上2年)、山﨑一生(教頭)、小川万里子(教諭)