南海トラフ地震などの大規模災害に備え、県は自衛隊や海上保安庁など関係機関との連携を強化することを目的として、30日に広域の津波災害対応実践訓練を行う。ことしは20機関の職員ら300人のほか、御坊市塩屋町北塩屋地区の住民約200人も参加。御坊では紀州日高漁協の漁船避難、王子神社での避難所運営、救急車とヘリコプターによる患者搬送などをシミュレーションする。
 訓練の想定は、午前9時ごろ、県南方沖を震源とするマグニチュード8・7の地震が発生、県内では最大震度7の強い揺れを観測した――。大きな被災地は和歌山市湊地区と御坊市の北塩屋地区の2カ所とし、広域防災拠点のコスモパーク加太、県庁南別館の災害対策本部の2カ所と連携してそれぞれの役割、行動を確認する。
 参加機関は国交省近畿地方整備局和歌山港湾事務所、陸上自衛隊第37普通科連隊、和歌山・田辺海上保安部、県警本部、御坊署、御坊市消防本部、NTTドコモ、紀州日高漁協など。ほか、和歌山市湊地区では約500人、北塩屋では約200人の住民も参加する。
 御坊市の塩屋漁港では、海上保安部の巡視船や地元の漁船が参加して津波情報伝達、漁船避難、救援物資搬送などを訓練。住民は王子神社や上の芝高台など数カ所に一時避難し、その後、王子神社で避難所設営、移動県庁(県職員の災害時緊急機動支援隊)による情報収集・伝達などが行われる。さらに、市消防と県防災航空隊が連携して、重症患者をコスモパーク加太まで搬送する訓練もある。
 仁坂吉伸知事は「以前はどこかの運動場に集まって、テントを張って行進するなどしていたが、現実にはそんなことは起こるはずがない。ということで、数年前からより実践的にやるため、現在のスタイルになり、ことしは被災地(訓練場所)を2カ所に増やし、内容も新しいものをいくつか取り入れた」と話している。