在日外国人やネパール支援などを行っている日高地方有志のNPOラック(古山隆生代表)のネパール訪問団(桃木範子団長)が16日、今月1日から8日まで視察したことを報告した。今回は世界的に支援の手がまだ入っていないバゲリ村を初訪問。住民には衣服がそろわず、教育もまともに受けられない状況を確認し、桃木団長は「来年から5年計画で物資や職業訓練などの面で支援していきたい」と意気込んでいる。
 バゲリ村はネパール中部地域に位置するマクワンプールのヘタウダから60㌔東にあるマグマティ川沿いにある村落。近年発見されたところで、ヒンズー部族のカミ、ダマイ、タマン、マジの93世帯770人が暮らしているが、非常に貧しい村とされている。桃木さんによると、世界の国や非政府組織NGOからの支援が届けられていない村であり、生活は魚釣りやトウモロコシ栽培での自給自足。桃木さんが訪問した際には、日本から訪問団が来るということでNGOが急きょ事前に衣服を配布したため、村人のほとんどは服を着ていたが、普段は子どもなら3分の2が全裸、3分の1が半裸。また、学校は1カ所にあるが、大半の子どもたちは生活の手伝いのため学校に通う時間がない。健康面では数世帯だけが洗濯とシャワーを浴びるだけで、他の人はその習慣がなく、病気になると祈祷(とう)師が祈るだけとなっている。
 桃木団長は同じような活動を続けている友人からバゲリ村の情報を聞き、今回、ラックのメンバーと有志を募って6人で約3時間滞在。現地の様子については「比較的大きなまちのヘタウダからジープで4時間半かかってバゲリ村に到着。完全に孤立した未開の集落という感じでした。最初は私たちのことをすごく警戒していました」とし、「子どもたちはNGOからもらって服を着ているといっても上着だけで、ズボンもパンツもはいていない子もいました。私たちがとりあえず持っていった衣服を差し出すと、大喜びであっという間に人だかりができたのが印象的です」と報告。さらに、「あまり物を売って収入を得るという考え方がないようです。でも現地には茶にできる『ハブ』があったので、これをお茶にして売ることを指導できればと思います。また子どもたちが教育を受けられる環境を整えるため、文房具や衣服などの物資支援を行っていきたい」などと、今後の活動へ意欲をみせた。
 今回はラックが発足から20年間支援を続けているドゥリケルにも足を運んで現地の里子6人に文房具なども手渡した。古山代表はこの訪問には参加できなかったが、「私たちは自分たちの喜びや楽しみのために活動しており、そのことが周りに少しでもお役に立てれば幸いです」と話している。