ことしの梅の県内収穫量が過去最高となる7万9000㌧だったことが、農林水産省近畿農政局和歌山地域センターの調べで分かった。開花時期の天候に恵まれ、受粉媒体となるミツバチの活動が活発化したことが要因とみられる。不作だった昨年と比較すると2万4000㌧(44%)増加した。一方、収穫期終盤(7月上旬)の青梅の県内平均価格は1㌔当たり205円で、昨年同期の約4割となった。
 同センターの集計した平成16年から10年間のデータによると、ことしの収穫量7万9000㌧のうち農家の自家消費などを除いた出荷量は7万6100㌧。収穫量、出荷量ともに過去最高となった。昨年の収穫量は5万5000㌧、出荷量は5万3100㌧でいずれも過去最低だったが、ことしは全国的にも豊作傾向。生産量が和歌山県に次いで2位の群馬県でも前年比33%増、3位の福井でも13%増となった。国内の収穫量の合計は12万3700㌧で、前年比38%増。
 この影響で価格は下落し、県内の青梅卸売価格の推移をみると、出始めの5月中旬は1㌔当たり621円だったが、同月下旬には454円、6月上旬には385円、同月中旬には300円、同月下旬には291円、終盤の7月上旬には205円にまで落ち込んだ。過去3年間の終盤の価格を比較すると、一昨年が356円、出荷量が少なかった昨年は506円。農家らによると、「ことしは、近年では記憶にないほどの安値だった」という。
 県内の栽培面積は、昭和54年に1620㌶だったが、平成22年の5140㌶まで右肩上がりで推移し、以降は横ばい状態となっている。