コンピュータの最強将棋ソフトとプロ棋士が対戦するとどちらが強いのか。来年春に第3回将棋電王戦が行われる。第1回では故米長邦雄永世棋聖がコンピュータに敗退。第2回からは5対5の団体戦に変更となったが、人間のプロ棋士が1勝3敗1分けでまたもや敗れた。1分けは双方の玉が互いに相手の陣内に入って勝負がつかない持将棋だった。第3回の出場者は屋敷伸之9段、森下卓9段、豊島将之7段、佐藤紳哉7段、菅井竜也5段の5人に決定。コンピュータ側は11月にコンピュータ同士がトーナメントで戦い、最強ソフトが決まる。一風変わった試みで、将棋ファンにとっては楽しみな対局だ。
 同じテーブルゲームのオセロでもコンピュータが強い。3、4手先を読むだけでもかなりの上級者だが、ソフトの場合は余裕で10手以上先を読む。しかもお互いが最善手を打ち合った場合の最終の石の数まで読み切る。どんなに強い人間の打ち手でもこうはいかないだろう。筆者は数年前にネットのオセロに凝り、実際に打った手を棋譜として残し、悪手や好手をコンピュータで解析したこともあった。いわばコンピュータが〝師匠〟だった。
 第2回電王戦の全局終了後の記者会見で、日本将棋連盟の谷川浩司会長が「形勢が悪くなっても、最善手を指し続けていくコンピュータに、精神力の重要性を教えられた」と話したという。心を持たないコンピュータから精神面で教わることがあるというのなら、道徳心が薄らいでいると言われる現代人にも我慢、思いやり、協調性などの人間性を教えることも可能なのかもしれない。そうなれば終局を待たずして完全に投了だ。    (雄)