県発注の公共工事などをめぐり、受注業者が補償名目で現金を脅し取られるなど不当要求事案が相次いでいることを受け、県と国土交通省紀南河川国道事務所、県警などが防止策を強化することを決めた。15日以降公告分のすべての県発注建設工事と建設工事に関する委託業務を対象に、業者に対して「暴力団に限らず、何人からも金品等を要求された場合は県と県警に報告する」との誓約書の提出を義務づける。
 県内ではことし3月、有田川漁協の幹部が県発注のトンネル工事に絡み、受注業者から漁業補償名目で現金を脅し取ったとして、恐喝容疑で逮捕される事件が発生。県は4月、河川の工事着手前に、業者が事前補償を行うといった、以前からの不適切な慣行を廃止することを決め、県建設業協会と協会の9つの支部などに対し、不当要求行為があった場合はただちに警察へ通報するなどの対応策を通知した。
 今回は業者が不当要求行為を受けた際の警察への通報、内水面漁協等が法的根拠のない補償を求める行為をしないよう求めた対応策を、県の公共工事全体に拡大。さらに、工事を落札した業者には誓約書の提出を義務づけ、提出しなければ契約を結ばないことも決めた。国交省紀南河川工事事務所も県の動きに合わせ、熊野川の水害復旧工事について誓約書提出を契約条件に盛り込むという。
 東日本大震災被災地の復興工事でも暴力団絡みの恐喝事件などが多発しており、県警組織犯罪対策課は県や国交省工事事務所とスクラムを組んで警戒を強めている。