県はことし3月に公表した南海トラフの巨大地震などの津波浸水想定に関し、各市町に津波が押し寄せるシミュレーション動画をホームページで公開している。まちを真上から見下ろした平面の2Dと、斜め上空のバードビューでまちを見下ろした3Dの2種類。それぞれのまちの役所(役場)付近を中心に、地震発生から2時間後までを見ることができ、県民からも「実際の映像のようで津波をイメージしやすい」と好評だ。
 昨年8月に内閣府が発表した南海トラフ巨大地震の津波高想定を受け、県は地震・津波被害想定検討委員会が南海トラフの巨大地震と東海・東南海・南海の3連動地震の2種類の津波浸水想定の検討を開始。ことし3月には結果が公表され、県内沿岸部の各市町はこれを受けて現在、新たなハザードマップ等の作成作業を進めている。
 今回の津波動画は浸水想定と同じく、「千年から万年に1回程度発生するかどうか」の南海トラフの巨大地震(M9・1規模)と、約100年周期で発生するといわれる3連動地震(M8・7規模)の2種類。①和歌山市②海南市③有田市④湯浅町・広川町⑤由良町⑥日高町・美浜町・御坊市⑦印南町⑧みなべ町⑨田辺市⑩白浜町⑪すさみ町⑫串本町⑬古座川町⑭太地町⑮那智勝浦町⑯新宮市――の16エリアについて、2Dと3Dを選んで見ることができる。
 南海トラフ巨大地震の最大津波高が県内で2番目に大きい17㍍と想定されている美浜町は、ハザードマップに時間ごとの浸水範囲を等高線のように示すことも検討しており、防災企画課は「今回の動画が活用できそう」。県総合防災課は「県独自の2つの津波浸水想定を策定するにあたり、今回の動画も当初から制作して公開する予定にしていた。1人でも多くの県民の皆さまに見ていただき、自分のまちにどのように津波が押し寄せてくるのか、イメージをつかんでいただければ」と話している。
 津波動画は県のホームページトップの注目情報にある「平成25年津波浸水想定について」から南海トラフと3連動のいずれかのシミュレーションを選び、さらに見たいまちを選択すればよい。