政府の中央防災会議南海トラフ巨大地震対策検討会議の作業部会が先月、マグニチュード9クラスの巨大地震対策の最終報告書を公表した。それによると「予知が困難であること」と「事前防災の重要性」などが指摘され、中でも食料や飲料水などの備蓄については、これまで政府が目安としていた「3日分」から「1週間分以上」となった。筆者も2年前に5年間保存可能な食料と水を3日分購入し保管しているが、実際のところ日高地方の食料などの備蓄状況はどうなのだろうか。インターネットなどを利用しない限り、なかなか商品を見ることもできないので、そう高くはなさそうだ。
 そんな中、先日、御坊市内に防災グッズの専門店がオープンした。取材の際にいくつか商品を見せてもらった。同店の主力商品という5年保管できるパンは、高カロリーを求められる災害用とあって中身がしっかり詰まっていたが、普通のパンのように柔らかい。また、ガラスや釘が刺さってもパンクしない自転車、コンパクトに収納できる睡眠セット、カセットボンベを使った発電機、段ボールで作るトイレセットなど、防災というよりアイデアグッズのようなさまざまな発想で作られた商品が多く、防災グッズの進化に驚かされた。
 ただ、どんなに防災グッズが進化し便利になっても、万が一の際、手元になければ意味がない。印南町では昨年度から全町民分の食料備蓄を始めた。今後、各自治体や団体でも進められていくだろう。災害はいつどんな状況で発生するかわからない。自治体などに頼らず「自らの命は自らで守る」という気持ちで、各家庭で備蓄への意識を高めていくことが重要だ。 (城)