明治23年、串本沖でトルコ軍艦エルトゥールル号(エ号)が座礁、沈没。大島の島民による救済活動で69人が生還した。95年後の昭和60年、イラン・イラク戦争で日本人約200人が現地に取り残される危機に直面。トルコが救済機を飛ばし救出した。日本とトルコの絆を示す2つの物語。知ったとき、心が熱くなった。
 御坊南ロータリークラブの例会で、NPO法人「エルトゥールルが世界を救う」理事、冨田博文さんから講話を聴いて詳しく知ることができた。冨田さんによると、大島の人々に、明治天皇がエ号の活動に際しお褒めの言葉と救済活動の費用を申し出るよう言われたところ、島民は「当たり前のことをしたまで」と断り、トルコ政府もまた見返りを求めず、救済機を出した理由を「エ号の恩返しをしたまで」と答えたそうだ。トルコは親日国で、「どこの国に行きたいか」という質問に9割が「日本の大島へ行きたい」と回答。歴史的背景もあり、日露戦争で活躍した乃木希典や東郷平八郎は英雄で、子どもの名にも「ノギ」「トウゴウ」と付けられているという。
 両国の間でエ号の映画化が進められている。脚本はNHK『天地人』など担当した小松江里子、監督は映画『火天の城』などの田中光敏。田中監督と串本町の田嶋勝正町長が大学の同級生だったことから映画化の話が生まれた。県内にはエ号と、日の岬沖で日本人を救おうとして遭難したデンマーク人のクヌッセン機関長の2例の国境を超えた海難救助がある。クヌッセンゆかりの御坊日高からも映画化の周知を呼びかけ、応援・協力。上映の際にはぜひご覧になって、より一層国際平和へ関心を高め、トルコについての知識も深めていただければと思う。
       (昌)