最近、よく聞く「アベノミクス」。財政出動、金融緩和、成長戦略の3本の矢で景気をよくするというのが、その政策だ。だが、テレビでもいわれていたが、「風が吹けば桶屋が儲かる」程度の話であまりピンとこない。小泉首相時代の好景気だって懐に還元されたような記憶はなく、今回もただ物価が上がって「はい、オシマイ」にならないか心配だ。
 「風が吹けば桶屋が儲かる」は、一見、まったく関係がないと思われるところに影響が及ぶことをたとえたことわざ。ネットで調べると、①大風で土ぼこりが立つ②土ぼこりが目に入って、目を患う人が増える③目を患った人は三味線を買う(当時の人が就ける職に由来)④三味線に使うネコの皮が必要になりネコが殺される⑤ネコが減ればネズミが増える⑥ネズミは桶をかじる⑦桶の需要が増え、桶屋が儲かるという一連の流れが由来とされる。いまなら舗装で土ぼこりは立たず、ネズミも少ないから桶屋は儲からない。時代が変化するとどこかでまったく関係のない事柄同士をつなげる流れも断ち切られ、そううまくは運ばない。アベノミクスでも、内部留保を拡大させる会社や貯蓄を増やし続ける家計など、これまでのように途中で金の流れを止めてしまうようだと景気は上向かない。首相には会社、家庭の財布の紐が緩むような、時代の変化に対応した具体的な施策もお願いしたいものだ。
 筆者のようなサラリーマンの場合。景気回復が鮮明になったら「シャチョウ(社長)ノミクス」「ツマ(妻)ノミクス」まであるのか、注目はその1点だ。「風が吹いても桶屋は儲からない」なんてことはアベノミクスの追加施策で回避してもらい、家計の財政出動、金融緩和に期待を寄せておきたい。  (賀)