九州地方名産のユズ。これを材料に使った調味料が「ユズごしょう」。ネットなどで調べてみると、「こしょう」と言っても実際はユズ風味の唐辛子ベースのようだ。唐辛子を粗刻みにし、ユズの果皮と塩を入れて磨り潰して軽く熟成させたものである。九州では一般的な調味料として知られているという▼最近ではユズこしょうを進化させた調味料「ユズスコ」が爆発的な人気となっているそうだ。「ユズごしょう」は従来から人気があったが、「もっと使い勝手の良いものはないか」という声が多く、固形のユズごしょうを液体化させてニーズに応えた。「ピザ」「スパゲティ」などの洋食だけでなくギョーザ、焼鳥、焼き魚などにも相性が良いという▼和歌山県では梅干しが有名だ。子どもの頃から梅はよく食べた方だが、大抵は母親が漬け込んだシソ漬けの梅干し。梅は梅干しにするぐらいしかないだろうと思っていたが、本場のみなべ町を担当して加工方法の多さにびっくりした。梅干しにしてもいろんな味があるし、果汁を煮詰めた梅エキスもある。最近では梅干しを使った料理も増えている▼梅料理研究会は昭和57年4月に発足し、本年度で30周年。約200種類の梅料理を考案してきたが、その中でも最も大きな功績は「梅びしお」の開発ではないだろうか。梅干しをすり潰してペースト状にしただけだが、それがきっかけとなって梅干しを料理に使いやすくした。従来の梅干しから進化させた形だ。今後は梅料理のレシピを広め、さらに改良を加えることで地域振興にもつながる。ユズごしょうからユズスコが誕生したように梅びしおからヒット商品が生まれる日も案外近いのではなかろうか。     (雄)