エコなまちづくりへ、木質パウダーによるバイオマスエネルギー事業に取り組んでいる日高川町は、2月10日の第8回農業祭で「農業ハウス加温用木質パウダーボイラー」の見学会を開く。町では現在、木質パウダーは温泉施設のボイラーで利用しているが、農業用での実用化まで至っていない。来年度からは2カ年でボイラー10基の導入を目指しており、エコな野菜づくりへ参加を呼びかけている。
 事業は、日高川町と県森林組合連合会の取り組みで、平成21年度にスタート。林地残材や樹皮などを原材料に、市内塩屋の県森連御坊共販所でパウダーを製造。きのくに中津荘、あやめの湯鳴滝、愛徳荘の町内3温泉施設の7つのボイラーで湯を温めている。
 一方で、農業用では実用化されておらず、松瀬地内の藏光農園で試験的にデモ機が設置されているだけ。町では来年度からは国からの補助を受けて1年につき5基ずつ、計10基の導入を目指しており、農家にとっても導入できるチャンスとなっている。燃料運搬車の進入路や石油用より大きいタンクの設置場所などが課題だが、安定した燃料価格、エコな農業をアピールできるなどメリットは大きい。見学会は午前10時、午後1時からの2回で、農業祭会場の農村改善センターでボイラーの説明、藏光農園で現地見学が行われる。今後も2回ほど見学会を開く予定にしている。
 木質パウダーによるバイオマスエネルギー事業は、原油価格の高騰など世界情勢に左右されることなく安定価格で原材料が供給でき、二酸化炭素削減、地球温暖化防止など地球環境にもやさしいエコな取り組みとして注目されている。価格については、原油価格がおおむね80円を上回れば、木質パウダーの方が得だという。