平成23年度中、県内で息子や夫から身体的、心理的な虐待を受けた高齢者は98人で、過去最多の前年度の101人から3人減となったことが国の調査で分かった。虐待を受けたのは約9割が女性で、虐待の種別(複数回答)ではたたくなどの身体的虐待が約7割を占め、暴言を浴びせるなどの心理的虐待は約4割。虐待行為をしたのは息子が43・7%と最も多かった。
 調査は平成18年4月1日から施行された高齢者虐待防止法に基づき、厚生労働省が市町村を対象に実施した虐待への対応状況等に関する調査結果を公表。それによると、23年度中に和歌山県内の市町村が受けた老人福祉施設や有料老人ホームの養介護施設従事者からの相談・通報は9件で、うち2件について虐待の事実が確認された。一方、夫や妻、息子、娘など養護者による虐待の相談・通報は、前年度29件少ない141件で、うち虐待の事実が確認されたのは98件。虐待件数は過去最多だった前年度の101件から3件減少した。
 虐待を受けた高齢者98人のうち89・8%の88人は女性で、年齢では80~84歳が23人(23・4%)と最も多く、次いで85~89歳、75~79歳がともに19人(19・4%)、90歳以上、70~74歳がともに13人(13・3%)の順。虐待行為をしたのは多い順に息子45人(43・7%)、夫22人(21・4%)、娘13人(12・6%)と続き、内容(複数回答)はたたいたり蹴ったりの身体的虐待が68件で69・4%を占め、次いで暴言を浴びせたり拒絶的な態度をとる心理的虐待が41件(41・8%)、預金を勝手に解約するなどの経済的虐待が29件(29・6%)、体が衰弱するほど食事の量を減らしたり長時間世話をしないなどの介護等放棄(ネグレクト)が28件(28・6%)となっている。
 虐待を受けた98人の7割以上の72人は介護保険の要介護認定を受けており、うち21人は認知症の症状がなく、認知症日常生活自立度は軽度のⅠが6人、ⅡとⅢが14人ずつ、Ⅳが8人。市町村への相談・通報者は業務上の通報義務があるケアマネジャーや介護保険事業所が約半数の70人(49・6%)と最も多く、家族・親族16人、警察14人などが続き、虐待を受けた高齢者本人も7人いた。