柏木征夫市長は11日の市議会一般質問の中で大規模地震に備えた庁舎の高台移転に触れ、「市民とは運命共同体。庁舎だけを高台に移転させることはできない」などと、既設庁舎の敷地内で改築する考えを強調した。
 村上宗隆議員が「大規模地震で庁舎や住居の高台移転の必要性が言われている。市の庁舎は改築を予定しているが、せっかく新しくなってもまた津波被害で建て替えとなると大変。高台へ移転すべきではないか」と質問したことに対する答弁。柏木市長は高台移転の考えがないことを明確にした上で、「旧御坊町には高い場所がないので、庁舎自体が有効な高台となる。1人も被害を出さないよう防災、減災対策を進めたい。また、庁舎をかさ上げする方法もあるが、たくさん盛ることで別の障害になる恐れもある。庁舎が浸水してもいい部分を設定して改築を進めたい。特に庁舎は情報収集、伝達など災害時の司令塔の役割を果たすので、その司令塔を庁舎の高い場所に確保するなど今後検討していきたい」と述べた。
 このほか、村上議員は「名新地区は海に近く津波で一番被害が出る地域。特別扱いというわけではないが、しっかりした対策をお願いしたい」と要望し、柏木市長は「名新地区で被害が出るときは旧御坊町でも被害が出るので、同じように対策を考える必要がある。ただ、1人も被害を出さないようもちろん名新地区をどうするのかも念頭にある。例えば製材所の木材の流出被害をどうするのか、避難弱者をどう逃がせるかなどを検討している」と説明した。