ことし発足20周年を迎えたプロサッカーJリーグは、サンフレッチェ広島が初めての優勝を飾って全34節の戦いが終わった。チームを率いたのは、元日本代表で、あのドーハの悲劇も経験した森保一監督。就任1年目のルーキーにして、J2降格も経験してきた老舗チームを栄冠に導いた。プロ野球でパ・リーグを制した北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督もことし就任1年目。若い新人監督の活躍ぶりが目立った1年だったといえるだろうか。ともに選手との信頼関係が強い印象で、だからこそ競争の激しいプロスポーツ界でも結果を出せるチームを作れたのだろう。
 一方で、Jリーグ発足以来20年間J1に在籍し、優勝経験もあるガンバ大阪が、初めての2部降格となった。日本代表の遠藤保仁、今野泰幸らが名を連ねた強豪も、チームとしての歯車がかみ合わなければ、厳しい世界を勝ち抜くことはできない。ガンバ大阪は10年間チームを指揮した西野朗監督が昨シーズンで退任し、今シーズンから外国人の新監督が就任していたが、AFCチャンピオンズリーグを含めリーグ戦第3節まで公式戦5連敗を喫するなど振るわず、早々と指揮官が交代となったことが最後まで響いたといえる。
 トップは、明確な将来のビジョンを持ち、選手との信頼関係を築かなければ強いチームを作れない。もちろん政治の世界でも同じで、指揮官がころころ変わる、変わらなければならない国はとても強くなれるようには思えない。国のトップを決めることになる衆院選がきょう4日、告示される。国民と信頼関係を築けるリーダーシップとビジョンを持つ候補者や党をしっかり見極めたい。 (片)