バラエティー番組の街頭インタビューで「さばを読む」についての実験を行っていた。男女別にそれぞれ質問。身体的なことでは男性は実際の身長より数センチ高く、女性はバストのサイズを大きく言ったりする。これまで交際した人数では実体験より男性は多く、女性は少なく回答するという結果が出ていた。身体的な質問には見栄を張る気持ちが持ち上がってくるのは当然だろう。交際人数では周囲の人、いまのパートナーにどう思われるかなどの思惑も絡まり、自分はモテる、まじめでウブと見せたいといったところか。
 「さばを読む」。辞書やインターネットで調べてみると、「自分の都合のいいように数をごまかすこと」と記されている。語源は諸説あるが、一番もっともらしいと思われるのは「サバは傷みやすく数も多かったから早口で数えられ、実際の数と合わない」。それが転じて現在の意味になった。江戸時代から使われているという。
 グラビアアイドルが年齢をごまかした時などによく使われる言葉だが、身近なところにもないか。高速道路や空港、港、公共施設の利用者、それに年金制度の基になる資料等々。施設を建設するためにごまかしたり、つじつま合わせで操作された数字があふれかえっていると思われる。一般人の身長や交際人数、年齢などはほぼ実害がないといっていいだろうが、公の仕事は違う。後世への被害も大きく、いまの世の中、「さば読み」の代償は計り知れないほど高くついている。
 「近いうち」の総選挙は、ついに来月に行われる見通し。各政党のマニフェストにさば読みはないか、しっかり目を光らせなければまた同じことの繰り返しになってしまう。注意を払いたい。      (賀)