県内30市町村の平成23年度決算がまとまった。一般会計等財政運営の悪化の度合いを示す実質赤字比率は、前年度に続き2年連続で全市町村が早期健全化基準をクリアしたものの、県全体で台風12号豪雨の災害復旧事業や物件費の歳出が増加。財政構造の弾力性を示す経常収支比率も前年度より硬直化が進んでおり、県は「各市町村とも引き続き効率的な財政運営が求められる」としている。
 県内30市町村の23年度普通会計決算は、歳入総額が4722億5700万円、歳出総額が4585億1600万円で、前年度比はそれぞれ18億7200万円、13億5300万円が増加した。歳入から歳出を差し引いた額から翌年度へ繰り越すべき財源を引いた実質収支は99億9100万円、実質赤字比率も前年度に続いて全市町村が黒字。
 歳入は基金からの繰り入れ、台風12号豪雨関連の特別交付税などが伸び、歳出も台風12号豪雨に伴う災害復旧事業費、災害廃棄物処理や予防接種等の物件費が増加。災害復旧事業費は前年度の約6倍、88億9800万円に上った。また、災害廃棄物の処理委託等の物件費、時間外勤務手当等の人件費、災害見舞金や弔慰金の扶助費も合わせると、水害に起因する市町村の歳出額は約124億円となっている。
 県平均の経常収支比率は全国平均の90・3%を上回る91・1%で、前年度より2・0ポイント上昇。これは臨時財政対策債の発行額減少による全国的な傾向で、県内市町村では御坊市が96・8%で最も高く、印南町が79・5%で最も低くなった。
 歳出の増加は国庫支出金や地方債の充当、特別交付税措置、積立金の取り崩しなどで財政状況の大幅な悪化は避けられたが、県市町村課は「今後も紀伊半島大水害からの復興、南海トラフの巨大地震に備えた防災・減災対策、少子高齢化に伴う社会保障関係費の増加が見込まれ、各市町村とも引き続き効率的な財政運営が必要」としている。
 下水道や宅地造成、病院など公営企業会計の23年度決算は、県全体147事業のうち86%の127事業が黒字だが、一部の下水道事業や宅地造成事業の多額赤字が影響し、総収支は117億7000万円の赤字。水道事業では台風12号豪雨で被害を受けた施設も多く、23年度は黒字幅が前年より半減するなど、全体の収支赤字に影響した。
 また、県内の土地開発公社が保有する土地は減少傾向にあるものの、保有期間が長期化しており、16公社のうち御坊市、紀の川市、かつらぎ町の3公社が債務超過状態。今後、橋本市が来年3月に解散し、その他、御坊市、有田市、海南市など6公社が解散を検討しているという。  今月6日未明に紀中地方で降ったひょうによる農作物被害は、温州ミカンの果実傷害を中心に発生し、県全体の被害額が1億666万円に上ることが、県のまとめで分かった。
 県農林水産総務課などによると、被害額は7日の前回発表より約6000万円増加。15日現在の農作物の被害額は99%が温州ミカンで、被害面積も他の野菜等を含めた全体235・9㌶のうち224・4㌶までが温州ミカン。ミカンの被害発生地域は広川町(7549万2000円)が最も多く、次いで日高川町(2227万5000円)、有田川町(793万円)、御坊市(10万8000円)など。
 ミカン以外では、日高川町でウスイエンドウのさやに傷がつくなどの被害が60万5000円(0・5㌶)、御坊市のキャベツに穴が開くなどの被害が24万9000円(11㌶)となっている。