12年前の平成12年、みなべ町では梅の生育不良がピークだった。この年には町内で6万8000本が確認され、梅農家にとっては死活問題として大きくクローズアップ。県や大学などの研究機関が土壌、大気、病気などについて調査したが、はっきりした原因究明には至らなかった。ところがその後、理由は分からないが発生本数は下降傾向。ことしは当時の10分の1以下の6232本までに減少した。「特効薬」を見つけることはできていないが、「天は自ら助くる者を助く」ということわざもあるように産地の努力が好転につながったのかもしれない。
 ところが、近年梅農家を脅かす新しい問題が発生している。梅やスモモなどに被害を与えるウメ輪紋ウイルス(プラムボックスウイルス)だ。農林水産省がことしに行った調査では全国7都府県27市町区で見つかった。近くでは大阪府泉佐野市でも確認され、対岸の火事とは言えない状況だ。潜伏期間は3年程度と言われ、発病すると成熟前に梅の果実が落下するなどの被害があるという。いまのところ県内での発生は確認されていないが、もしこれが蔓延すると取り返しのつかない大きな被害となる。現状では有効な対策は見つかっておらず、発生すると伐採しか方法はないという。
 梅は地域の基幹産業。しかし、いつの時も多かれ少なかれ何らかの問題はある。それは梅に限ったことではなく、他の分野でも同じだろう。苦難に直面した時、いつもいわれるのが英知の結集。今回のウメ輪紋ウイルスでも関係者の努力で感染を未然に防ぎ、産地の梅を守り切っていくことを信じたい。      (雄)