みなべ町の清川小学校では、児童たちが自分たちで地域の防災マップを作っている。一人一人が自宅周辺のゼンリン地図を持ち帰り、避難場所の位置や過去に冠水した道路、がけ崩れの危険がありそうな場所を、家族で話し合っている点が素晴らしい。家族が一緒にいるときより、バラバラになっているときに地震がくる確率の方が高いだろう。もしものときは親の指示がなくても子どもが自分で判断して安全な場所に避難する。この力を養うことは、今後絶対に必要な教育だ。
 子どもたちが登下校時、一人でどこを歩いていても避難できるようにと、玉置敏与校長が発案した。地図をもとに実際に保護者と一緒に歩き、避難場所や危険個所を見て回るという。地域の自主防災会の協力で、一人暮らしのお年寄り宅も訪問し、悩みごとの聞き取り調査も実施することにしている。清川地区は昨年9月の台風12号で大規模崩土が発生し、一時孤立した。教訓を生かそうとする地域ぐるみの活動は、将来、必ず成果を出すだろう。まさに防災のモデル地域といえる。地区が大きくなると難しくなる部分もあるが、日高地方の海岸沿いの学校区でもぜひ取り組んでもらいたい。
 子どもに対する防災教育は、何も目先の安全だけが目的ではない。将来、地域の防災リーダーを育てるという意味でも重要だ。南海地震等の巨大地震は近い将来の発生がいわれだしてもう数年たつ。その時が刻一刻と近づいていることは確か。清川小の取り組みは、どこの学校でも実践できること。話を聞くだけではなく、とにかく自分たちで学び、体験することが重要。いますぐできることは、何でも実践していこう。 (片)