内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会が公表した最大震度・津波高の推計結果で、 御坊市には従来の想定の3倍近くになる高さ17・4㍍もの津波が襲来することが分かった。 東日本大震災並みのマグニチュード9・1に設定した結果で、 これは行政や住民に大きな衝撃となる。
 ただ、 内閣府は 「過去に同規模の地震が発生したことはなく、 発生頻度は極めて低い」 としており、 御坊市担当課でも 「今回想定された津波の高さは日高港沖合いの話。 市街地に襲来するときはどれくらいとはいえないが、 専門家によると低くなるとされている」 と補足している。
 しかし、 そうはいうものの、 自然相手なのだからどんな高さの津波が襲来するのか本当は分からない。 万が一大津波がきたら御坊ではどこに避難すべきなのか。 担当課によると市役所庁舎で高さは約20㍍、 日高病院も同じぐらいだが、 ほかに高い建物がほとんどない。 しかも、 日高平野といわれる場所で日高川河口から亀山まではほぼ平らな土地。 そんな17㍍もの大津波が来たら全域が水没する恐れがないとはいえない。
 詳細な被害想定については、 今回の結果をもとに今後国や県、 各自治体がまとめていくことになる。 確かにむやみやたらに不安をあおるのはよくないと思うが、 東日本大震災の教訓から従来の想定ではもはや通用しないのは分かっている。 どこまで想定を厳しくすればいいのか、 線引きが難しいところでもあるが、 行政は可能な限り最悪の事態を想定して防災、 減災対策を進めていくべきだろう。 また、 住民も一層危機感を高めて対策を検討、 見直す機会にしてほしい。     (吉)