内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会が公表した最大震度・津波高の推計結果で、 県内には最大で18・3㍍ (すさみ町) の大津波が押し寄せ、 日高地方も御坊市が6・7㍍から17・4㍍、 美浜町は6・6㍍から17・9㍍となるなど、 軒並み津波高が大幅にアップした。 これまでの想定を上回る厳しい内容に、 地域防災計画の見直しを進めている各自治体はさらに修正を求められることになった。
 県内沿岸部の市町はこれまで、県がまとめたマグニチュード8・6の3連動地震による被害想定を基に独自の地域防災計画を策定。それによると、 県内で最も大きな津波は串本町の8・8㍍、 第1波の到達時間も同町大島の6分が最短だった。
 今回の検討会の想定は、「発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす最大級の津波」 とし、 地震の規模を示すマグニチュードは東日本大震災並みの9・1に設定。従来の震度想定では6強以下だった和歌山市、 有田市、 美浜町、 日高町、 由良町、日高川町など13市町を含め、 県内沿岸部の20市町が震度7となった。
 津波の高さ(満潮時)はすさみ町の18・3㍍が最大で、次いで大きいのは美浜町の17・9㍍、御坊市の17・4㍍など。従来の県の想定と比較すると、美浜町は6・6㍍から11・3㍍、御坊市は6・7㍍から10・7㍍アップとなり、紀伊半島南部から押し寄せる津波が湾になった日高川河口や煙樹ケ浜で大きくなると予想されている。
 県は昨年3月の東日本大震災後、市町村と連携して避難所や避難路の見直しなど防災・減災対策の総点検を進めているが、今回の推計結果公表を受け、県と市町村はさらに危機感を高めた防災計画の練り直しを迫られることになった。仁坂吉伸知事は「今回の結果をみても、大規模災害に備えた安心・安全なインフラ整備を進めることが必要であり、国に対して紀伊半島一周高速道路の整備をこれまで以上に強く働きかける。また、県南部の沿岸地域については、将来的な高台移転が望ましいと考えており、今後、方策を検討する」と話している。