住民の理解や協力を得ながら行政、 医療、 福祉の関係機関が連携して取り組む新たな精神障害者の地域移行支援事業 「ACT」 が注目を集めるなか、 社会福祉法人太陽福祉会 (東田博之理事長) が24日、 市中央公民館で地域移行に関する研修会を開催。 訪問看護ステーションなど民間機関の協働による国内初の活動集団、 ACT―K (京都市) の看護師を講師に招き、 日高地方を中心に県内各地の病院看護師や作業療法士、 行政関係者ら約50人が参加した。
 ACTとは、 Assertive Community Treatmentの頭文字で、 「包括型地域生活支援プログラム」 と訳され、 看護師、 精神保健福祉士、 作業療法士、 精神科医、 就労支援担当者らさまざまな職種のチームでサービスが提供される。
 ACT―Kは、 往診専門診療所のたかぎクリニック、 ねこのて訪問看護ステーション、 NPO法人京都メンタルケア・アクションの3つの組織が連携する日本で初めての民間の取り組み。 今回の研修会には、 利用者を訪問しているねこのて訪問看護ステーションの看護師、 福山敦子さんと宮脇真理子さんが招かれ、 実際の訪問事例を報告した。
 福山さんは、 統合失調症と診断を受けた40代の男性の事例を紹介。 当初の訪問で素直さ、 根気強さ、 几帳面さなど男性のストレングス (長所や強み) を知り、 それを伸ばすかかわりをひたすら続けることで、 男性自身がステップアップを望むようになったと説明。 「男性に出会ったころはどうしようもない状態だと思いましたが、 繰り返し話しかけ、 穏やかな時間を共有するなかで、 支援者の思いを感じとる心のスキがあることを実感しました。 どんな状態の人でもかかわりの糸口はあります」 とし、 ACTのスタッフとして地域に出たことで 「病院ではできない対等の立場で支援ができ、 家族との密着や住環境など生活の中のささいなことが原因で精神症状が悪化することがわかりました。 利用者とかかわることで自分も元気になり、 毎日が楽しいです」 などと話した。
 参加した精神保健師や看護師は 「ACTの具体的な話を聞くことができてすごく勉強になりました」 と話し、 車による外出支援 (ドライブ) の効果と事故対応の備え、 利用者の長所を見つけるための日々のトレーニングなど多くの質問が出た。