山登りの神・柏原の4年連続区間賞なるか、地元日高地方出身選手の活躍など、正月恒例の箱根駅伝は今回も見応えがありそうだ。往路、復路合わせて217・9㌔、2日間で10時間余りの長期戦だが、少しテレビを離れた間に展開が大きく変わるドラマのような面もあり、ファンは多いだろう。陸上は個人競技というイメージが強いが、駅伝は団体スポーツの究極の形ではないだろうか。野球のように攻守の交代時間はなく、サッカーのようにボールが出てプレーが止まることもない。一瞬たりとも手を抜くところがなく、ずば抜けた選手が一人いれば勝てるわけでもない。最も単純で、最も結果の読めない競技。すべては1本のたすきをつなぐため。「絆」という言葉が最も似合うスポーツともいえるのではないだろうか。
 2011年が間もなく終わろうとしている。災害抜きにことしを語ることはできないが、同時に人のつながりを感じ、求めた1年でもあった。台風12号で被災した日高川町で農業関係者を中心に取材したが、多くの人から聞こえたのは「ボランティアの皆さんに助けられ、元気をもらった」という言葉だった。困っている人を見ると、いてもたってもいられない、少しでも役に立ちたいという純粋な気持ちが人を救った。ことしの漢字が絆であったのがうなずける。
 核家族化など地域の連帯感が薄くなっている中で、絆やつながりという言葉が今後のキーワードになるのは間違いない。駅伝とまではいかなくても、他を思いやる気持ちは、地域の防災力も高める。災害はことしの一過性であってほしいが、強めた絆は来年以降も続いていく、そう願って1年の締めくくりとしたい。       (片)