先日、印南町が8月に町内全戸対象に行った防災対策に関するアンケート結果を発表した。「非常時の持ち出し品を用意している」や「避難場所を知っている」などを「はい」「いいえ」で答える形式で、主に「はい」の割合が高いほど防災意識が高くなるようになっている。結果では、持ち出し品の内訳なども含め全55項目あった中、ほとんどの項目で「はい」が50%以下となり、防災意識の低さが明らかになった。
 結果は印南、稲原、切目、切目川、真妻の5地域ごとにも出ているが、比較してみると印南地域が他地域に比べて「はい」と答える割合が高かった。理由としては、印南地域が他地域に先駆けて自主防災組織が立ち上がっていたことが挙げられる。少し前まで日高地方でもっとも自主防災組織率が低かった印南町だが、印南地域の浜、本郷、宇杉、津井、地方の5地区では数年前からすでに発足し、訓練などを定期的に実施してきた。もっとも、津波の危険が高い沿岸部のため、意識が高いのは当然といえば当然だが、防災袋の準備や避難に関する知識、家族との連絡方法などで「はい」と答えた人が多く、自主防の効果を証明した。
 印南町では平成21年10月から町内全地域での自主防災組織の発足を目指し、設立補助金の交付を始めた。以後、次々と発足し、いまでは全33地区中31地区で立ち上がった。まだできたばかりの組織が多く具体的な活動とはいかないところもあるが、今後どんどん活発になっていくだろう。日ごろの地道な訓練で地域に啓発し、防災意識を徐々に高めていく自主防災組織の重要さを、今回のアンケート結果であらためて感じた。 (城)