台風12号の豪雨で日高川の椿山ダムなどが氾濫、大きな被害が発生したことを受け、仁坂吉伸知事は11日、椿山など県管理の発電施設併設ダムについて、大雨の前に事前放流できるよう関西電力との間で協議を進めていることを明らかにした。治水機能をより高めるため、発電用の貯水分も事前に放流するという内容で、関電側からは協力するとの意向が示されているという。
 県によると、台風12号は紀伊半島の広い範囲で総雨量が1000㍉を超え、県が設置している椿山ダムなど4つの多目的ダムでは予備放流や洪水貯留準備水位維持のための放流を行い、河川流量の増加に合わせて下流部を洪水被害から守るため、洪水調整を実施した。しかし、強い雨は長時間降り続き、椿山ダム、二川ダム(有田川)、七川ダム(古座川)では計画規模以上の洪水流入となり、ダムの貯水位が満水付近に達した。
 椿山ダムでは9月4日未明から早朝にかけて最大毎秒4000㌧近くを放流。一時的に流入量をそのまま放流するダムの治水機能が失われた状態となったため、県は大雨の前に発電用の貯水分も放流して治水効果を上げられるよう関電と協議していた。手順等の詳細は今後、さらに協議を進めていく。