みなべ町は、4日に開会する議会定例会に、合併後最大となる11億円を超える一般会計補正予算を提案する。全体の半分以上となる約6億円が台風12号被害への災害復旧費で、農地や農道、水路の復旧に最大の3億円以上を計上。本来は国などの補助対象外となる小さい被害を受けた農地の再生へ町単独で補助を出すための2000万円も含んでおり、農家の生活再建に力を入れた予算となった。
  一般会計補正予算は11億3675万4000円を追加し、総額は87億1984万1000円。このうち災害復旧費は、 農林関係3億5909万円、道路等の公共土木関係2億3430万5000円の合わせて5億9339万5000円となった。
 農林では、林道の復旧に3000万円余以外はすべて農業関係で、農道や水路、農地の復旧に充てられる。この中には農地の一部が崩れたり、川沿いで濁流に流されながら国の補助対象外(復旧費40万円以下、もしくは農地の傾斜が20度を超えている)となっている農家に対して、町が独自に20万円を上限に工費の2分の1の補助を出す事業を含んでいる。町内の農地で被害の大きい梅畑は急傾斜を切り開いている場合が多いことや、今回の水害で小さい被害を受けた農地がたくさんあることを受け、町が支援していくことにした。公共土木関係では、路肩が欠損した町道などの復旧を進めていく。
 このほか災害関連として、防災ラジオの購入補助金1445万円、衛星携帯電話3台の購入費に110万8000円を計上。防災ラジオは町内放送を各家庭で受信する機器で、旧南部町ですでに普及しているが、旧南部川村を対象に購入費を全額町が負担する。各地区自主防災会に取りまとめて購入してもらうことにしている。衛星電話は、台風12号で清川地区が孤立し、情報が一時寸断されたことを受け、清川、高城、岩代地区に配備する方向で検討する。
 台風関係以外では、22年度決算の余剰金のうち減債基金と地域づくり基金への積立金合わせて4億円となっている。
 町では「多くの農地が被害を受けており、元通りにしないと作付けもできないので、今回重点を置いた。台風被害の復旧には数十億円かかるが、できるところから取り掛かる」と力を込めている。