将来の中核産業となる成長産業を誘致し、脱炭素の先進県を目指そうと、県はわかやま成長産業開拓ビジョンをまとめた。岸本周平知事を座長に大学教授、経済界、金融界の代表らのビジョン検討会が昨年11月から練り上げてきた県産業発展の指針。30年先の将来のありたい姿として「誇りと希望を持てる、選ばれるまち」を掲げ、▽脱炭素社会の中心産業の開拓・集積▽歴史風土・文化の継承と発展▽ウェルビーイング(個人や社会のよい状態)先行実現――を推進する。
県内産業発展のカギとなる成長産業については市場の成長性や県との親和性、雇用拡大の可能性、周辺産業への波及効果などをポイントに複数の候補を明確化。具体的には昨年10月に閉鎖した和歌山製油所跡地でENEOSが計画しているSAF(持続可能な航空燃料)の製造事業や、関西電力などが御坊沖に計画している洋上風力発電、スペースワン社が計画している串本町でのロケット・宇宙産業のほか、蓄電池、次世代自動車、木質バイオマス利活用、デジタル化などを挙げている。
これらの産業誘致に向けてはGX(グリーントランスフォーメーション)に積極的に取り組む投資意欲の高い企業へのアプローチを引き続き展開。10年後の中間目標では県内で1・5兆円規模のGX関連の投資(10件以上)実現も掲げている。今年度中に成長産業開拓ビジョンを基にしたアクションプランを策定。岸本知事は「新たに策定を進めている県総合計画の産業バージョンのたたき台。こういったビジョン策定は全く初めての試みで、まさにこれからスタートを切る」と話した。