記者になって約20年、これまで多くの小学校の閉校を見てきた。美浜町の三尾小学校や印南町の上洞、真妻小学校など。少子化で小学校の統合が進むのは仕方ないが、地域にとっては少しさみしいものがあるだろう。筆者が住んでいる由良町もほかでもなく、子どものころは4つの小学校があったが、人口減少に伴い児童数も減り続け、昨年3月には残っていた3小が統合し、1校のみとなった。

 そんな閉校になった学校の一つ、由良町の白崎小学校が今月から、新たに食堂「しらしょう」として生まれ変わった。小学校のころに使用していたランチルームを食堂に、調理実習室を調理室として改修。メニューにはアカモクやワカメ、シラスなど由良の特産をふんだんに使った料理をはじめ、うどんやカレー、定食など一般的なメニューも並んでいる。運営する一般社団法人紀州の環の中初美代表は「町民の皆さまの憩いの場になってほしい」と話しており、価格も観光地価格ということもなく、地域住民が気軽に入りやすく、筆者も昼時に近くに来たときは寄ってみたいと思った。

 食堂の近くには由良の代表的な名所である白崎海岸、また夏は近くの大引浜と、観光スポットがあるので、そこからの観光客らの来店も見込まれ、由良の特産を食べてもらうことで魅力を発信する拠点としての機能も持つだろう。

 小学校は食堂だけでなく、避難所などの防災機能、住民の健康生きがい事業など、地元区と紀州の環で多くのプロジェクトを計画している。子どもの教育の場としての役目を終えた小学校が、地域の絆を深め安心・安全を守る施設として生まれ変わっていく姿を追っていきたい。(城)