3日午前、台湾東部沖でマグニチュード7・4の大地震が発生した。被害程度ははっきりと分かっていないが、同日現在で9人の死者を確認。複数の建物が倒壊したほか、大きく傾いているビルなどがテレビで映し出された。地震の影響で土砂崩れも発生し、台湾で起きた地震では過去25年で最大規模だという。日本でも津波警報が発令され、一時は緊迫した状況となった。

 台湾は日本の統治時代に大きな経済効果をもたらしたことなどから親日といわれ、両者の関係は良好。2011年の東日本大震災では200億円以上の義援金が送られ、今年1月に発生した能登半島地震でも約25億円の寄付金が届いたばかり。日本からも2400人以上の死者を出した台湾地震(1999年)の時は、その日のうちに緊急援助隊を現地に送った。国際大会の野球の舞台でも、感謝の垂れ幕を張り出すなどして相互の絆を深めてきた。

 その台湾が今、窮地に立たされている。今度は日本が台湾を助ける番。現地に駆けつけて復旧支援活動に取り組むのはかなりハードルが高いが、無理のない範囲で義援金に協力することはできる。将来的に海外旅行を計画する機会があれば、台湾を旅行先に決めることでも経済的な支援と成り得る。一人ひとりが常に気にかけて関心を持ち続けることも大切だ。

 地震直後、テレビなどでは日台の交友関係などが紹介され、すでにインターネットでは「今こそ恩返しする時」などの書き込みが相次いでいる。相手を思いやり、困っている人に手を差し出す。それは災害時における共助の精神の根底であり、日本人の美徳でもある。(雄)