2024年度から29年度までの6年間を期間とする県の新たながん対策推進計画が完成した。「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての県民とがんの克服を目指す」という全体目標の下、最終29年度の75歳未満年齢調整死亡率(人口10万人当たり)は21年度と比べて15%減少の58・3に設定。罹患率、死亡率の抑制へ、大手生命保険会社や事業所と連携して検診受診率アップを目指す。

 2018~23年度の第3次県がん対策推進計画では、75歳未満年齢調整死亡率が全国を下回る水準を目指し、15年と比べて15%減の68・3まで減らすことを全体目標として各種事業・施策を推進してきた。結果、21年の年齢調整死亡率は68・6となり、目標値には届かなかったものの、15年からの減少率は14・6%で全国の13・6%を上回り、都道府県別のワースト順位は11位から17位にまで下がった。

 今年度からの第4次計画は、これまでの年齢調整死亡率の減少率が全国、和歌山県とも続くと仮定した場合、27年は全国が58・8、和歌山県は58・9となる見込みから、目標値は全国を下回る58・3に設定。その達成のため、がん予防、がん医療、がんとの共生の3つの分野ごとにさまざまな取り組み、数値目標等を設定した。

 がん予防では、予防方法の普及・啓発、発がんに関係するウイルスや細菌への対策などを進め、がんの年齢調整罹患率(人口10万人当たり)を現状(19年)の398・8から減少、がんの早期発見割合を現状(同)の53・4%より増加させる。がん検診受診率は現状(22年)の胃がん(47・5%)、肺がん(46・5%)、大腸がん(40・6%)、子宮頸がん(38・7%)、乳がん(39・5%)をすべて70%まで引き上げることを目指す。

 計画は市町村や医療機関、各種関連団体と連携して進めるが、保健福祉分野の包括連携協定を締結している大手生命保険会社ともタイアップし、職域の検診受診率向上等に向けた取り組みにも力を入れる。