コンクールで最優秀賞を受けた山城さん

 日本教育書道研究会主催の第46回書初コンクールで、今月、日高高校を卒業した御坊市荊木、山城温夢(のん)さん(18)の作品が最優秀賞を受賞。山城さんには不登校の経験があり、書道に励むことで自分に自信をつけて乗り越えてきたという。高校生最後のコンクールで念願の最優秀賞を受けた。「両親や書道の先生の支えのおかげです」と喜んでいる。

 山城さんは3歳から、御坊市薗のおがわ教室(小川紗繪子〈本名・節代〉さん指導)で書道を習っている。中学生の時、不登校を経験。自分に自信がなく心が傷ついていたが、その期間にゆっくり自分と向き合い、好きなこと、興味のあることに目を向けた時、幼いころから続けてきた書道に集中して努力を重ねることで賞を受けた経験などから、だんだん自分に自信をつけることができたという。卓球も始め、気の合う仲間と出会えて世界が広がった。書道ではこれまで学生書初コンクールで最優秀賞、中・高・大学生半切コンクールで大賞、成田山全国競書大会で日輪賞など実績を挙げ、硬筆(ペン字)では6段にトップ合格した。

 今回のコンクールでは、課題となった「義重利固転」の5文字を行草体で書いた。線が細くなりがちなので、しっかりとした太さを保つよう心がけたという。「最後のコンクールなので結果を出したいと願い、結果が出るまでは本当にドキドキしていました。うれしいです。私の気持ちを大切にしてくれ、寄り添ってくれた両親、小川先生をはじめ周りの方々のおかげで気持ちを切り替え、立ち直りの一歩を踏み出すことができました」と周囲の支えに感謝。「これからもいろんなことに挑戦しながら書道の学びを深め、ゆくゆくは先生のように優しさと思いやりを持った指導者になりたいです」と抱負を話している。

 母の理恵子さんも「不登校から立ち直って自分を信じ、迷うことなく笑顔で人生を楽しんでいる娘の姿を見ることができ、人生の経験に無駄なものは何一つないと感じています。お世話になった方々には本当に感謝しております。いま困難な状況で苦しんでいる方々に、私たちの経験で少しでも勇気を持っていただくことができれば幸いです」と話している。表彰式は4月21日、県民文化会館で行われる。