3月は卒業シーズン、別れの季節である。県立高校では1日に卒業式が行われ、進学や就職、それぞれの道へと新たな一歩を踏み出していった。筆者は日高看護専門学校の卒業式に取材で訪れた。患者の気持ちに寄り添う、看護職という崇高な仕事に従事する心構え、覚悟がにじみ出た表情で皆、卒業証書を受け取っていたように感じた。

 近代看護の創始者といわれるフローレンス・ナイチンゲールは数々の名言を残しているが、その中に「天使とは、美しい花をまき散らす者ではなく、苦悩する者のために戦う者である」がある。看護師は白衣の天使とよくいわれるが、病と戦う患者に寄り添い、ともに戦うという大きな役割があるという意味だろう。

 病気で入院する患者や家族は、病状や手術、予後に対して大きな不安を抱えている。医療スタッフからすれば悩む程の事ではないと思っても、慣れない患者からすれば不安だらけ。看護学校を卒業した皆さんにはどうか、患者に寄り添うという初心を忘れず頑張って欲しいとエールを送りたい。

 日高看護専門学校の西森敬司学校長の式辞に、自分が成長しているか確かめたいとき、他人との比較ではなく「昨日の自分」と比べることが大事だとの言葉があった。「自分はダメだと悲観したり焦ってはいけない、それよりも昨日までの自分より少しでも成長していればいい」と。非常に温かい励ましの言葉であり、40代後半の筆者の心にも刺さった。看護の道に限らず、これから社会に出るすべての人に贈りたい言葉である。昨日の自分より成長できているか、今日の方が充実できただろうか、毎日思い浮かべたい。(片)