先日、食中毒予防講習会の冒頭で、日高食品衛生協会の更井喜作会長が、「食という字は人に良いと書きますが、提供する側の油断やミスによって害になることもあります」と話されていたことが、すごく胸に残った。車のハンドルを握るのと同じ「だろう」ではなく「かもしれない」を調理でも実践してほしいと。交通事故もそうだが、誰も食中毒を出そうと思ってしていることはない。目に見えないウイルスが人に害を与えてしまうこともあるが、調理する方は人を喜ばせようとしてくれている、その気持ちも伝わった更井さんの言葉だったように思う。

 漢字を例える名言はいくつもある。人と憂い(辛さや悲しみ)で優しい。人は辛さや悲しみを経験することで人に優しくなれる。辛いに一つ足すと幸せになる。辛いときにあと一歩踏ん張れば、先の人生に幸せが待っている。一万+ノ+力で励ます。人は叱られるより、励まされることで一万の力が湧いてくる。もう一つ、光る言葉と書いて誉める。誉められた人はまぶしいくらい光り輝く笑顔になるだろう。見たり聞いたりするだけで前向きになれる言葉の数々である。

 背中を押してくれる言葉ばかりでもないのが世の中。口に虚しいと書いて嘘(うそ)。子どもも大人も、大なり小なり、誰しも嘘をついたことがあるだろう。例外もあるのだろうが、嘘をついてもつかれても、誰も気持ちのいいものではない。政治資金規正法違反など、政界の話題を伝えるニュースを見ていると、なんだか虚しくなるのは筆者だけだろうか。見たり聞いたりするだけで前向きになれる政界のニュースがあふれる日が来ますように。(片)