ウクライナ政府から届いた警報を見るキツィラさん

 ロシアによるウクライナへの侵略開始から24日で2年となった。ウクライナ西部リビウ出身で由良町に暮らすロクソリャーナ・キツィラさん(29)は昨年、約1カ月帰郷し、長引く戦争に疲れ切った人々の様子を目の当たりにした。「このままではさらに人々は疲れ続ける。早く戦争が終わってほしい」と祈りを込める。

 キツィラさんは、中学生のころから日本の伝統や文化に興味を持ち、日本語を勉強し、ウクライナを訪れた日本人男性と出会い、2021年3月に結婚、同年8月から由良町に住んでいる。帰郷はロシアの侵攻が始まってから2回目で昨年11月から12月にかけて約1カ月間滞在した。

 リビウはキーウから西へ約460㌔と前線からは離れているが、断続的にミサイル攻撃などが続いている。リビウの実家には両親と兄、祖母の4人が暮らしており、約1年ぶりの再会を喜び合った。滞在中、攻撃を受けることはなかったが、毎日、昼夜問わず警報が鳴り響き、不安な日々を過ごした。前回の帰郷のように停電になることはなく、街が日常を取り戻そうとしていたが、「コンサートに行ってもどこに行っても戦争の話をしている。ニュースでロシアの攻撃があったことが報じられると、皆が落ち込んだようになる」と、まだまだ戦争一色となっている故郷を振り返った。

 日本ではロシアの攻勢と一部でウクライナの軍と国民の士気の低下も伝えられるなか、キツィラさんも家族からの情報で祖国の苦戦を実感。リビウにも戦線が近づきつつあり、「母の友達の息子さんが軍隊にいって亡くなった。私のいとこも軍隊に入った」という。帰郷を振り返り「この2年間、常にストレスの毎日で、ウクライナの人々が疲れ切っているのをとても感じました。早く昔の故郷に戻ってほしい」と話し、ロシアに対しては「全世界で(結束して)侵攻を止めなくてはならない」と強く訴えた。

 家族とは今でも常にチャットや電話で連絡を取り無事な様子を確認しているが、SNSでウクライナ政府からの警報メッセージが届くたびに不安な思いを募らせている。