米大統領選は共和党の候補者選びが始まり、初戦のアイオワ州はトランプ前大統領が圧勝。トランプ氏とヘイリー元国連大使の一騎打ちとなったニューハンプシャー州もトランプ氏が勝利した。

 米国では早くも指名争いはトランプ氏で決まりとの見方が広がっており、トランプ氏本人も民主党バイデン氏との決戦に向け、得意のSNSで現政権批判を展開。超党派で協議しているメキシコからの不法移民対策の立法措置を「いらない」と批判した。

 8年前、トランプ氏が公約に掲げたメキシコ国境の壁建設はその4年後、バイデン氏の勝利によって白紙に戻った。しかしその後、不法移民が急増し、バイデン氏は野党からも身内からも批判を浴び、政策転換を迫られた。

 この共和党の主張を取り込む形の不法移民法案は、ウクライナ支援を継続させたい民主党とのバーター。指名争いで勢いづくトランプ氏の発言は一気に影響力が高まり、すでに予算が底をついたウクライナ支援に暗い影を落としている。

 日本は自民党一強が長く続き、政治とカネの問題が噴出し、岸田政権の支持率低下が止まらない一方、野党の支持率もさっぱり上がらない。政党間の熱い戦い、政権交代など望むべくもないが、米国の二大政党政治も現状を見る限りは首をかしげざるを得ない。

 物価高騰が続き、進まぬ賃上げに日本人の暮らしはじわじわと苦しさが増しているが、政治に対する関心の低さはやはりまだ諸外国に比べると、政治も経済も社会保障も安定しているということの表れであろう。

 いま、国際社会で何よりも重要なのはウクライナの勝利。米国が支援をやめ、負けてしまえば世界の秩序が変わる。大統領選から目が離せない。(静)