衛星携帯電話で役場と通信する北裏地区長㊨

 孤立可能性集落がない御坊市を除く県内29市町村を対象にした一斉の通信・伝達訓練が20日行われた。石川県能登半島地震では土砂崩れによって奥能登の2市2町で最大24地区3345人が孤立。和歌山県では、近い将来発生が予想されている南海トラフ地震をはじめ、複雑多様、激甚化する自然災害による集落の孤立に備え、地域住民が自治体との通信手段を確認した。

 災害時に孤立の可能性がある集落へ配備している市町村の防災行政無線などの状態、操作確認を目的に、集落と市町村間で通信訓練を実施。防災電話を使用した市町村と県の伝達訓練も併せて行われた。

 訓練は20日午前9時ごろ、県南方沖でマグニチュード8・7の地震が発生し、県内では震度5強~7の揺れを観測。地滑り等の土砂災害が多発し、各地で孤立集落が発生している模様との想定で、それぞれ孤立の可能性がある集落の住民、市町村、県の職員が参加しし、住民が防災行政無線等で市町村に状況を報告した。市町村は県防災情報システムへ孤立状況を登録。防災電話で振興局へ、振興局が危機管理局へ報告を行った。

 美浜町は和田地内の入山地区で実施。自主防災会会長の北裏典孝地区長(66)が入山公民館から簡易無線機と衛星携帯電話でそれぞれ役場と通信した。

 同町では入山、三尾の2地区が孤立可能性集落になっている。入山では今回の訓練とは別に、以前から3カ月に1回程度、同様の訓練を行っており、北裏さんは「能登半島地震は人ごとではない。地区の皆さんも報道で認識があらたまったのではないでしょうか。訓練は大切。来月25日には防災について県の出前講座も予定しており、多くの人に参加してもらい、孤立を含めて災害に対する備えを強化していきたい」と話していた。