政治資金パーティーに絡む裏金疑惑。政治家は「政治には金がかかる」といい、一説には国会議員1人の活動には年間6000万円程度かかるといわれているが、その中身はよく分からない。

 耳にするのは、私設秘書の人件費や複数ある事務所の家賃、諸経費などだが、活動の実態は地元での国政報告や後援会関係者へのあいさつ回りが多いとも聞く。政治というより、選挙準備という方がしっくりくる。なぜそうなるのか。

 1つの議席を争う小選挙区制度では、安全保障や憲法、経済など、大きな日本の課題を論じていては票にならない。日ごろからいかに地元の要望に耳を傾け、予算を取り付け、道路等の工事を進めるか。こまめな「どぶ板政治」こそが選挙に強くなる条件となる。

 そのために、県内の地方ごとに事務所と秘書を置き、それぞれに後援会組織をつくる。派閥から販売ノルマを課される政治資金パーティーとなれば、地元の企業・団体に買ってもらうが、売る方も買う方も、一般の有権者もマスコミも、パー券の本質は賄賂だと思っていたのでは。

 清廉が政治家としての第一条件だとは思わないが、業界・団体との癒着につながるこのような政治(選挙)を続けている限り、国際社会の激しい潮流、地殻変動のなかで日本は早晩、異形の隣国にのみこまれてしまうだろう。

 2024年は台湾総統選挙に始まり、ロシア、米国で大統領選挙が行われる。政治は国民を映す鏡ともいわれるが、その双方の資質を高める役割を担う報道機関の端くれとして、来年も倦まず弛まず、読者、有権者の側を向いてしっかりと、日々の出来事や為政者の主張をお伝えすることを約束し、納刊と致します。皆さま、どうぞよいお年を。(静)