日高地方最大の秋祭りとして知られる御坊祭に50年ほど前まで参加していた島組の傘鉾(かさぼこ)の傘幕が、地元会館で見つかった。コロナ禍を経て少しでも地域が元気になるようにと、地域ではちょうど祭りへの再参加を考えていたところで、まずは傘鉾を修繕し、早ければ来年から復活できればと盛り上がっている。
関係者によると、島組はいまから約55年前に祭りに参加しなくなった。傘鉾などの祭具は当時、島東正会の会場で保管され、その後、1981年に新築された島会館に移されたとみられるが、地元でもはっきりしたことは分からなくなっていた。
組では祭りに再び参加するため、神事で使う傘鉾のレプリカを作ろうと計画していたが、その前にダメ元で昔の祭具が残っていないかを調べたところ、島会館の階段下の倉庫で、金属性の箱に入れられ保管されていたのを発見。県担当課と市教委に見てもらい、昔の写真などから当時使っていた傘鉾と同じものであることが確認された。
傘鉾は祭りの神事となるお渡りなどで組を先導する傘状になった鉾。島組の傘鉾は直径141㌢、高さ約70㌢。珍しいシルクの生地に唐獅子と牡丹の絵が描かれ、島組の文字が入っている。直径は寸尺単位にすると「4尺6寸5分」あり、地域住民の幸せを願って「よろこぶ」の語呂合わせとみられている。現在、京都の専門業者に持ち込んで修繕費用を見積もり中。無数の畳みじわが入っているが、半世紀が経過しているとは思えないほど、保存状態はよいという。
今回、傘鉾とともに獅子頭や獅子幕、太鼓なども見つかった。島組総代で東正会会長でもある細川幸三さん(61)は、「私が6歳のころに島組が祭りに参加しなくなったのを覚えています。生まれ育った地域の活性化につながるよう、再び祭りに参加したいと思います。まずは傘鉾を修繕し、将来的には他の祭具も復活できれば」と話しており、年明け早々にも県や市教委などと今後の対応を協議する。