リュウグウのサンプル分析結果を話す圦本さん

 天文台が休止となった2014年から復活を訴えて続けられてきたイベントで、圦本さんの天文公園での講演は15年以来8年ぶり2度目。今回は「宇宙からの玉手箱が開いた!」をテーマに、はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの分析結果などを解説した。

 子どもにも分かりやすいように「太陽系昔話」として太陽系宇宙の成り立ちを話し、はやぶさプロジェクトが目指した小惑星について説明。はやぶさ2が持ち帰り、昨年分析結果が出たリュウグウからのサンプルについて、「割合でいえば地球よりも多くの水を含んでおり、アミノ酸など有機物も多い」と説明。リュウグウは▽太陽から遠く離れた冷たい場所で生まれた▽地球と同じく46億年前に岩石と氷の粒によって直径約100㌔の母天体が誕生▽その後氷が溶けて40度ほどの温泉がわき、内部が粘土質に▽その500万年後に衝突が起こって天体が破壊され、直径約1㌔のリュウグウが生まれた――と過程を説明し、サンプルのレプリカを参加者に回して見てもらい、「地球にこのような水と有機物を持った天体が衝突したことで地球にそれがもたらされ、生命が誕生した可能性がある。研究を進めれば生命の誕生の秘密も分かってくると思う」と話した。

 講演後の質疑応答ではJAⅩAの今後の計画についても質問があり、火星を回る2つの月、フォボスとディモスのうちフォボスからのサンプル採取を目指す「MMⅩ計画」があることを紹介した。

 講演に先立ち、イベントの初回から毎年出演、昨年9月に他界した歌手おおたか静流さんの追悼ライブが行われた。毎回共演していたギタリストのKeiju(ケイジュ)さんが出演。「とても淋しい。多分、今ここにも来てくれているかもしれません。いつもここで彼女がうたっていた曲を演奏します。心の中で歌声を聴いてください」と、「ジュピター(木星)」、宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」、おおたかさんのデビュー曲「花」などをギターで奏でた。美しく力のこもった音色に来場者はじっと聞き入り、大きな拍手を送った。

 最後には元かわべ天文台研究員の古屋昌美さんが天体解説し、望遠鏡観望も行われた。