開発したラーメンを前に細田部長

 食物アレルギーのある子どもたちにもおいしいラーメンの味を届けたい―― 御坊市島の漬け物製造・販売業、有限会社樽の味(細田幸治社長)が、無添加かつアレルギー成分ゼロの即席ラーメンを独自開発した。自社の発酵技術を生かしたスープや米粉を使ったオリジナル麺でコクのある醤油タイプに仕上げており、来月から販売をスタートする。

 近年、食物アレルギーで食べ物を制限される子どもたちが増える傾向にあり、小麦や保存料などを必ずといっていいほど使用するラーメンを食べることができない子どもがいる。厚生労働省が示す食品添加物は保存料、人工アミノ酸、酸味料、香料など。消費者庁が指定するアレルギー成分の特定原材料は小麦、大豆、卵、豚肉、鶏肉など28品目あり、ラーメンのスープと麺ともに製造には欠かせない成分が含まれている。

 樽の味ではスープに自社の発酵技術で作った甘酒を使ってうま味やコクを出すとともに、豚骨や鶏がらでだしを取れない分、ジビエ料理で話題のシカの肉と骨を代用。小豆島(香川県)産のそら豆醤油も使い、和歌山ラーメン(車庫前系)の味に寄せた。麺は米粉を使い、麺打ちなどはらーめん幕末の山来謙治社長に相談、指導を受け、スープの味やコク、麺の歯ごたえなど、1年間の試行錯誤の末にようやく完成した新商品。無添加かつアレルゲンフリー(AF)はラーメンの小売業界では初めて。

 商品名は「もちっと米粉ラーメン」。乾麺タイプで液状スープが付いており、価格は1袋800円程度の予定。樽の味販売事業部の細田幸平部長(43)は「日本人にとってポピュラーな味のラーメンを食べられないという子どもでも、ラーメンのおいしさを知ってもらえるよう、無添加とアレルゲンフリーにこだわりました」と話している。