今月1日、地域公共交通活性化再生法が改正され、経営が厳しい鉄道路線の再構築を議論する協議会を国が設置することが可能になった。自治体や鉄道事業者からの要請があれば、鉄道の存続や代替交通への転換を議論する協議会を国土交通大臣が設置でき、各方面から関係者が参加できるようになる。法改正を受け、JR西日本は早速、赤字が深刻な芸備線の一部区間について協議会の設置を要請した。

 芸備線の対象区間は、広島県庄原市から岡山県新見市までを走る約70㌔の区間。山陰へと結ぶ路線で、山間部を走る。100円の運賃収入を得るために必要な費用を表す営業係数は、最高で2万5416円という額だ。国は年内にも協議会の設置を判断し、設置から3年以内をめどに結論を出したいとしている。

 生活様式が日に日に変わるなか、スピード感を持って協議が進むのは必要なことだと思う。このような地域の沿線では道路整備がどんどん進んでいくかもしれない。道路がきれいになれば、車の利用が増え、鉄道という手段はますます選ばれなくなっていく。

 私自身この仕事をするようになって車中心の生活で、電車に乗る回数が減った。日常生活で使っていたのが、休日に遠出するときくらいしか乗らない非日常的なものになってしまった。でも、遠出して知らない地域の鉄道に乗ると楽しい発見ができるのも魅力だと思っている。線路は非日常世界へ誘う道なのだ。

 地方路線は利用者ありきで考えていくのはもちろんのこと。その中で地元の人たちが「うちの地域には電車が通っている」と、少しでも希望を持てるような存在であってほしいと願う。(鞘)