「多様な人材の確保を目指す」と岸本知事

 岸本知事は3日、来年度から実施する県職員採用試験の制度内容を大幅に変更すると発表した。

 今年度の大学卒業程度採用試験は一般行政職などの通常募集(定員70人程度)のほか、特別枠(5人程度)と就職氷河期世代対象枠(3人程度)、職務経験者対象UIターン型枠(5人程度)となっていた。来年度は通常募集の定員を50人程度に減らすとともに、特別枠と就職氷河期世代対象枠、職務経験者対象UIターン型枠を再構築し、新たに早期募集枠と社会人採用枠をそれぞれ定員20人程度で募集。早期募集枠は受験資格が22歳から29歳までで、1次試験を4月、2次試験を5月、合格発表を6月の早い日程で実施。1次試験では専門試験がなく、全国テストセンター方式の基礎能力試験のみとする。専門試験をなくすことで学生にとっては公務員試験の勉強をする必要がなくなり、民間企業と公務員の併願がしやすくなる。

 社会人採用枠は受験資格が30歳から45歳までで、こちらも1次試験は専門試験がなく、基礎能力試験と論文試験のみとし、中途での優秀な人材確保に努める。通常募集枠の1次試験についてはこれまで通り専門試験を行うが、将来的にはなくすことも検討する。

 通常募集枠と社会人採用枠の試験時期は1次が6月、2次が7月、合格発表が8月。試験会場は和歌山市、田辺市のほか、新たに東京にも設ける。これまで採用試験の合格は1次、2次の試験の点数を合計した総合得点方式で決定していたが、来年度からはいずれの募集枠でも1次の筆記試験の成績を合計せず、面接と論文試験の成績のみで決定するリセット方式を採用する。高校卒業程度のⅢ種試験のほか、短大卒業程度のⅡ種試験も新設する。

 岸本知事は「偏差値やペーパーテスト重視の傾向が閉塞した社会の状況をつくり出している。県庁でより幅広く、多様な人材を採用していきたい」と話した。