10月に操業を停止する有田市のENEOS和歌山製油所エリアの利用について、同社や県、経済産業省などでつくる今後の在り方に関する検討会が5日、今後の方向性について中間報告を発表したことを受け、岸本周平知事は6日、「脱炭素社会の基地として使われることを期待する」と歓迎した。


 和歌山製油所は1941年に操業開始、80年以上にわたり地域経済や雇用に重要な役割を果たしてきたが、国内石油製品の需要減少などの影響で、10月に操業停止が決まっている。


 検討会は操業停止を受けて今年1月に発足し、議論を重ねてきた。中間報告では今後、これまでの石油基地から、カーボンニュートラルを先導する未来環境供給基地を目指すとし、GX(グリーントランスフォーメンション)の推進、次世代エネルギーとしてSAF(持続可能な航空燃料)等の供給、企業誘致による新規産業の創出に取り組むとしている。


 具体的には、248万平方㍍の敷地のうち、すでに実施している太陽光発電エリアを除いて「次世代エネルギー創造」と「新産業創出」の2つのゾーンに分け、日本有数のSAF製造拠点となるよう事業化への取り組みと、カーボンニュートラルに関連する有力な産業や企業誘致を進めていく。雇用については2029年まで無害化工事が続くために一定規模が維持され、新産業のスタートにも期待されている。


 岸本知事は「SAFはマーケットとしても今後確実に伸びていく。脱炭素を進める県として、計画中の洋上風力の電気でSAFを製造するなど、県全体として企業と協力して取り組んでいきたい」とした。